何かの書評を読んで気になっていたこの本を、
ようやく購入して読みました。
本を選ぶときはいつも、
どこか自分の人生との接点を探しながら選んでいるみたい。
私にとっての読書は、
人生の答え合わせのようなものかもしれません。
『流浪の月(凪良ゆう著)』
人間って、いつの時も、
正解か、間違いか、このどちらかに振り分けられる気がします。
本筋で、多数派で、真っ当なものが正しくて、
そこからはみ出るものは、間違いで、=悪。
この本を書かれた凪良ゆうさんは、
ながくBL(ボーイズラブ)作品を描いてこられた作家さんということもあってか、
この、はみ出た側の人間の心理描写が、もう、めちゃめちゃ繊細でリアルです。
ちょっとした心の動き、
例えば、登場人物が、今感情にフタをして話してるんだな、とか、
自分を守るために、こういうフリをしたんだなっていうようなことが、
行間からぶわっと映像になって浮かび上がります。
ストーリーは、家に居場所のない少女と19歳の青年が出会うところから始まります。
二人の間には、優しくて無邪気な時間以外、なにもなかったにもかかわらず、
誘拐事件の被害者と加害者として、センセーショナルに報道されてしまう。
その後の人生は、
それぞれが常に好奇の目におびえながら、自分を偽りながら、生きていきます。
大切なものを、大切だと言えないもどかしさ。
誰にも真実をわかってもらえないままに、
ただ、運命を受け入れて、生きて行くという過酷さ。
最初から最後まで、この、
はみ出た側の人間の切ない気持ち(本の中ではハズレと表現されてます)が、
真っ直ぐに胸に突き刺さってくるような本でした。
自分に欠落しているもの。
なぜかみんなと違うもの。
そんなものに悩み続けたわたしの心とシンクロし、
息をのみながら読みました。
そして、こういった物語には珍しく、
最後のシーンは明るく晴れた青空のような爽快さで、
深刻なことも笑って生きる、そんな強さ、かっこよさを感じて本を閉じました。
そういえば、
米津玄師さんの曲、「まちがいさがし」の歌詞ってまさにこういうことですね。
♪まちがいさがしの まちがいの方に
うまれて きたよな 気でいたけど
まちがいさがしの 正解の方じゃ
きっと 出会えなかったと思う
そうそう、
まちがいの方に生まれてきたから、出会える人がいて、
できる経験があって、本当の愛を感じることができる。
人生に間違いなんて、ないんだよな。
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