2020年の本屋大賞受賞作、『流浪の月』を読んだ感想

何かの書評を読んで気になっていたこの本を、

ようやく購入して読みました。

本を選ぶときはいつも、

どこか自分の人生との接点を探しながら選んでいるみたい。

私にとっての読書は、

人生の答え合わせのようなものかもしれません。

目次

『流浪の月(凪良ゆう著)』

人間って、いつの時も、

正解か、間違いか、このどちらかに振り分けられる気がします。

本筋で、多数派で、真っ当なものが正しくて、

そこからはみ出るものは、間違いで、=悪。

この本を書かれた凪良ゆうさんは、

ながくBL(ボーイズラブ)作品を描いてこられた作家さんということもあってか、

この、はみ出た側の人間の心理描写が、もう、めちゃめちゃ繊細でリアルです。

ちょっとした心の動き、

例えば、登場人物が、今感情にフタをして話してるんだな、とか、

自分を守るために、こういうフリをしたんだなっていうようなことが、

行間からぶわっと映像になって浮かび上がります。

ストーリーは、家に居場所のない少女と19歳の青年が出会うところから始まります。

二人の間には、優しくて無邪気な時間以外、なにもなかったにもかかわらず、

誘拐事件の被害者と加害者として、センセーショナルに報道されてしまう。

その後の人生は、

それぞれが常に好奇の目におびえながら、自分を偽りながら、生きていきます。

大切なものを、大切だと言えないもどかしさ。

誰にも真実をわかってもらえないままに、

ただ、運命を受け入れて、生きて行くという過酷さ。

最初から最後まで、この、

はみ出た側の人間の切ない気持ち(本の中ではハズレと表現されてます)が、

真っ直ぐに胸に突き刺さってくるような本でした。

自分に欠落しているもの。

なぜかみんなと違うもの。

そんなものに悩み続けたわたしの心とシンクロし、

息をのみながら読みました。

そして、こういった物語には珍しく、

最後のシーンは明るく晴れた青空のような爽快さで、

深刻なことも笑って生きる、そんな強さ、かっこよさを感じて本を閉じました。

そういえば、

米津玄師さんの曲、「まちがいさがし」の歌詞ってまさにこういうことですね。

♪まちがいさがしの まちがいの方に

 うまれて きたよな 気でいたけど

 まちがいさがしの 正解の方じゃ

 きっと 出会えなかったと思う

そうそう、

まちがいの方に生まれてきたから、出会える人がいて、

できる経験があって、本当の愛を感じることができる。

人生に間違いなんて、ないんだよな。

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